
◆彼の名は…
今、最も韓国Z世代に
注目されている人かもしれない。
「카더가든」
日本語読みはカドガドゥン。
英語に訳すと「Car,the Garden」
初見で名前を見た感想は
「どんなバンド?」と思った。
だけど、聴いてみたら、ひとりの男の
やけに静かで、やけに響く声だった。
平成生まれの僕にとって、馴染みがない「エモい」
という形容詞はカドガドゥンのためにあったのだと
錯覚するほどに。
◆ 名前の由来は?
「Car, the garden」という名前、実は彼の本名
차정원(チャ・ジョンウォン)から来ている。
차は韓国語で「車」。すなわちCar。
정원は韓国語で「庭」。すなわちGarden。
それを合体させて「Car, the garden」
“車、庭”というユニークすぎるアーティスト名。
インターネットオタクのような雰囲気と
彼の音楽の持つ“脱力と深み”を象徴するようにも
思える素晴らしいネーミングセンスだ。
◆ 声の温度が、ちょうどいい
Car, the gardenの歌は、派手ではない。
けれど一度聴けば、なぜか頭の奥の方に残る。
冬の夜に飲むホットチョコレート、
夏の夜に肌をなでる扇風機の風――
そんな「感情と体温のちょうど中間」みたい。
代表曲「Tree」
「Home Sweet Home」
「Romantic Sunday」
などは、どれもメロウで繊細。
だけど、どこか芯が強い。
癒し系?――いや、それだけじゃない。
繊細系?――もっと人間臭い。
むしろ彼の音楽は「聴くセラピー」じゃなくて、
“自分で立ち上がるための休憩”みたいな
時間をくれる。
◆ バラエティでも人気。
Car, the gardenはバラエティ番組にもよく出る。
『놀면 뭐하니(遊ぶなら何する?)』では、
ユ・ジェソクとも共演し、お茶の間の人気者に。
飾らないキャラクター、ほんのり不器用な話し方に
「あ、この人、素で生きてるな」と思わせる。
でも、どれだけTVに出ても、音楽は“彼”のまま。
それが、ファンにとっての安心感なのかもしれない。
◆ どんな時に聴きたい人?
仕事帰り、電車の中でふと無音がつらくなった時
誰かと喧嘩した夜
でも「ごめん」とはまだ言いたくない時
カフェでひとり、雨の音と窓を眺めてる時
つまり――
「何かをしたい」わけじゃなくて、
「ただ、今をやりすごしたい」夜。
そういう時――
Car, the gardenの歌はちょうどいい。
◆元々の名前
元々は메이슨 더 소울 (メイソン・ザ・ソウル)と
いう名前で活動していた。
バンドグループHYUKOH(혁오)の
ボーカルであるオヒョク(오혁)の勧めで
カドガドゥンに改名したらしい。
改名前の本人の気持ちとしてソウル(魂)という
言葉に責任を感じるようになり、背負いきれなく
なったからだと言っていたそうだ。ㅋㅋㅋ
◆ネットミーム化
カドガドゥン(카더가든)は先述した通り
本名を直訳したもので、直感的でもなく
それでいて口に馴染みやすくもない。
そのせいか、名前を混同した人が続出。
あまりにも繰り返されたため、いつしか
カドガドゥンの名前を間違えて呼ぶことや
勝手に変えて呼ぶことがミーム化していく。
最初の頃は킨더가든(キンダーガーデン)のように
ハングル一文字違いのハングル四字熟語。
しばらくして킨더조이(キンダージョイ)
가터벨트(ガーターベルト)のように、ただ
ハングル四字熟語で呼ばれるようになっていった。
ミームは日本には届かないレベルではあるが、
韓国では主にZ世代を中心に爆発的に流行し、
カドガドゥンはネット上では
正しい名前で呼ばれることはほとんどない。
極め付けはMBCで放送されたKBOリーグの
韓国シリーズにて国歌独唱で呼ばれた時である。
放送曲が、陰謀なのか何なのかまさかの字幕ミスで
カドガドゥンを메이트리(メイトゥリー)と誤紹介。
地上波でさえ、自分の名前で呼ばれない歌手として
伝説を残してしまった。

間違えられすぎだろㅋㅋㅋ
◆ 最後に一言だけ
Car, the gardenは「派手じゃない音楽」の代表だ。
イージーリスニングできるけど
ディープリスニングもできる。
でも今の時代、“静かな音楽”を求めてる人って、
実はめちゃくちゃ多いと思う。
疲れてるとき、悩んでるとき、恋に破れたとき――
あるいは、ただ
夏の夜風に吹かれていたいだけの日。
そんなとき、彼の音楽をふと再生してみてほしい。
きっと、あなたの中の「静かな部分」に
何かが届くはずだから。
◆今までのは全て前置きで…
ここまで書いてきたがこれは全て彼の表の顔。
すなわち歌手としての顔である。
代表曲はあるが、Z世代に支持されているのは
彼自身である。
YouTubeにておふざけに本気を出してる姿が。
企画もの「アバター合コン」
合コン⁉︎お見合い⁉︎なんだけど、参加者1人が
カドガドゥンと通話しながら参加するという企画。
これがマジでテレビのバラエティー顔負け。
くだらないの最高級の面白さを
オールウェイズ提供している張本人なのである。
相方(準レギュラー)として、ラッパーのノクサル(넉살)が
笑いにブーストをかけている。
未視聴の方は、最優先で見ることをオススメしたい。